十三棋道舘道場
開席28周年記念日を迎えて


昭和52年5月1日に当道場を開席し、
満28年の誕生日を無事に迎えることができました。

このように長く道場運営を続けてこれましたのも、
当道場をご利用いただきました数多くの一般将棋愛好家の
ご支持、ご理解のたまものと深く感謝をいたしております。

将棋道場を取り巻く環境は、
平成十年頃以降、大変に厳しいものになっています。

パソコンの画期的な普及によるネット将棋の爆発的な浸透や、
地域老人センターなどによる、無料対局施設の整備増大
構造的な慢性不況による愛好者の将棋離れなど、
数え上げればキリがありません。

このまま進めば将棋愛好者の絶対数激減により、
新聞紙上から将棋欄が次々と消えてゆき、
それに伴う将棋関係の各業種も衰退の一歩をたどり
総本山の社団法人日本将棋連盟も
足元から崩壊してゆくことでしょう。


このような将棋界を支えることが出来る唯一の方法は、
次世代を担う子供たちに対する地道な将棋普及です。

将棋を楽しみながら覚えることにより、
大切な対人礼法を身に付け、
構想力比較力決断力に磨きがかかり、
辛抱する大切さを学ぶことが出来ます。

将棋は1つのゲームでしかありませんが、
一局の将棋は大きな大きな小宇宙でもあります。

現在、過去、未来が、
一尺四方のちっぽけな盤の中に
無限大の変化を内蔵して息づいています。

こんなに素晴らしく楽しいゲームは他にありません。

日本の伝統文化である将棋をこよなく愛する人達が集う場、
これこそが街の将棋道場です。

江戸期以来、連綿と続く将棋会所の灯を
絶やすことはできません。

                              平成17年5月1日
                                    十三棋道舘道場主 
                                        弓刀吹将子